なちかつ
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 江戸時代も終わりに近い頃、主人に代わって長い旅をし、金比羅宮にお参りに出された狗(いぬ)があったという。当時の人たちは狗を代参させた人の心を思って、道々その狗を大事にしたそうだ。この本は江戸から讃岐までの往復を成しとげたこんぴら狗ムツキの冒険物語。フィクションだが綿密な取材で迫真の物語に仕上がっている。

 ムツキは飼い主で商家の娘弥生の病気回復のためこんぴら参りに出される。いくつもの苦難を乗り越え、そしていろんな人と関わりながら長い旅を続ける。旅の後半で知り合うことになるやはり江戸からの伊勢参りの親子、澄江と宗郎。宗郎は目が不自由な男の子で、その快癒を願っての伊勢参りだった。ムツキとの旅でたくましさが現れてくる。やがて江戸に帰り着き、ムツキと宗郎は別れなければならなくなるが・・、ラストは感動的でさわやかだ。

2024年 (令和6年)
4月24日(水)
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