自然写真家として身を立てたいと思っていた青年は、ある夜夢を見た。北国を思わせる針葉樹の森で一頭の立派なオオカミと出合う、そんな夢を見た。次の日、青年はオオカミのことをもっと知りたいと思い、近くの図書館へ出かけた。目にとまった一冊の写真集。『ブラザー・ウルフ』、その写真群に圧倒される。撮影したのは世界で最も著名な自然写真家のひとり、ジム・ブランデンバーグだった。「あの夢のオオカミが、この本へと導いてくれたのかもしれない・・」。写真家としてのジムのことを知るにつけ、尊敬の念とともに彼のもとで写真を学びたいという思いが募った。わずかな手がかりを頼りに、三ヶ月間のキャンプ支度をして、ジム・ブランデンバーグがいるアメリカ・ミネソタへ、ノースウッズへ、青年は旅に出た。
行動を起こすことで拓ける自分の道、そして、行動を起こすことで出会える人々。みずみずしい青春の軌跡。若い人たちにぜひ読んでもらいたい。
*ジム・ブランデンバーグ『白いオオカミ』も併せてどうぞ