なちかつ
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 科学絵本としてとてもよくできている。まずはじめの問いかけがいい。“ぼくたちはそらのしたでくらしています。そらのうえにはなにがあるかしっていますか?(改ページ)うちゅうです。・・うちゅうはとてもとおいばしょなのかもしれません。どのくらいとおいばしょなのでしょうか?” そして読者の目は東京の街の公園の地面から空に向かって上がっていく。目の高さからだんだん高度を上げて見える景色の絵が続く。その絵がとても細かくていねいに描かれている。そして最後は宇宙へ。しかし、最後の最後でスイカとそのたねの絵を例示し、宇宙が地球の大きさから見てそう遠いとことではないことを教えてくれる。問いに対する答え、そして答えに至る過程がきちんと描かれて、文は平易だが、科学的に正しさを保つべく表現が工夫されている。雲の中は実は霧の中にいるのと同じという場面の絵や、いくつもの雲が層をなしているようす、雲の上の深い紺色の空、昼間だというのに星が輝いているほとんど宇宙と呼べる場所の絵など、正しく描かれているのだろうと思う。むしろ写真より絵のほうがわかりやすく伝えられるのではないだろうか。最後の“ぼくたちはこんなせかいでくらしているのですね”の場面は、宇宙や科学をぐっと子どもに引き寄せる効果があると思った。

2024年 (令和6年)
12月26日(木)
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