なちかつ
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 佐野洋子さんのエッセイは気軽に読めておもしろい。とにかく飾らない。品があるかと言えば、ほとんどない。言葉遣いもよろしくないし、自分のことのみならず人のこともあけすけに書く。数々の名作を世に残した絵本作家だから非凡な才能の持ち主であろうに、しかし、自分は生きてきて何も役に立たなかったただのババアだと言い放ち、奔放にただのババアの本音を書いている。だからおもしろい。臨床心理士の河合隼雄氏との会話。「私が何か言うと男の人がうしろに飛び退くように感じることがある」、「それは佐野さんが本当のことを言うからです。みんな本当のことは嫌いなのです。本当のことは言ってはいけません」、私は何かとても恥ずかしかったが、自分で、何が本当であるか本当でないかわからないのだった・・と、こんな調子。

 それにしても、いつもすごいと思うのは、佐野洋子さんの読書量だ。本人は意味もわからず何も残っておらずと言うが、外国文学に日本の古典、まったく半端じゃない量を読んでいる。やっぱり凡人じゃない。

 佐野洋子さんの作品にはほかに、自身の母親との葛藤をつづった『シズコさん』、余命〇〇と告げられて佐野洋子流の死生観を語った『死ぬ気まんまん』などがある。

2024年 (令和6年)
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