アメリカの高校生が4人ずつ2つのグループに分かれて公開討論会をする。1ヶ月間、4回にわたって。テーマは「広島と長崎への原爆投下は必要だったか否か」。主人公で、日本人の母とアイルランド人の父をもつメイは、原爆否定派のメンバーとして討論に参加する。2つのグループは周到な学習と準備をして討論に臨む。討論は、原爆被害の惨状、真珠湾攻撃、日本軍の中国での残虐行為、ナチによるユダヤ人迫害、日系アメリカ人に対する強制収容、日系アメリカ兵のヨーロッパ戦線への投入など、第二次大戦全体を総合的に考えながら展開していく。やがて肯定派も否定派も、平和のために自分たちは何と戦わなければならないかということに気づいていく。「戦争と平和」という人類の大きな問題に対して、自分の頭で真剣に考え、他者とも意見を戦わせながら考えを深める、その過程こそが一番大事だと教えてくれる作品。
なちかつ
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