発達障害の子どもへのあたたかいまなざしにあふれた作品。
主人公のジョセフは7年生(中1)でADD(注意欠陥障害)。学校の通級指導教室に通っている。集中しなきゃいけないときにほかのことに気をとられて失敗ばかりしてしまうジョセフ。何かにつけて自信が持てない。そんなジョセフがひょんなことから陸上部に入り、クロスカントリーを走ることになった。物語は日記風にジョセフの一人称で語られていく。男子顔負けのスポーツが得意な少女ヘザーとの友情を育みながら、そしておじいちゃんをはじめとする家族や先生たちの励ましを受けながら、ジョセフのへんてこな部活動が展開していく。でも、最後の大会のレースが終わったとき、ささやかだけど確かに、ジョセフの中で何かが変わっていた。
「どんな場合でも自分が想定していない何かが起こる。その何かのせいで最後にやられるのだ。でも、それでいいんだ。なぜならその何かを乗りこえて、べつのことがおこる。そしてまたべつのことも。それも乗りこえられる。そしていつか、また想定していなかった何かにやられて、気づくんだ。それって最高のことなんだって」