瀬戸内海に浮かぶみかんの島。みかんが好きというだけの理由で、ひなたは東京から一人この島の高校を受験し、やってきた。感動的に美味しいみかんをつくった農家の西村さんを訪ねる。物語は、西村さんの孫でひなたと同い年の拓海とひなたがみかん畑で出会ったところから始まる。もう一人、学校で問題ばかり起こしているが、みかんのことはよく知っている柴。「みかん、好き?」、小さな青いみかんの実がだんだん色づいていくように、それぞれが心に影をもつ三人にほのかな友情が育っていく。摘蕾、摘果、草刈り・・、丹精こめて美味しいみかんをつくる労働が人と人を結びつけ、高めていく。さわやかな青春小説。
なちかつ
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