オーガスト・プルマン(オギー)は10歳のふつうの男の子。ただし、顔以外は・・。パパとママは悩んだすえ、オギーを5年生から学校へ行かせることにした。まるで“屠殺場に引かれていく子羊みたい”ってどういうこと? 不安だらけのオギーの学校生活が始まる。
物語は各章ごと、オギーのほか、姉のヴィア、学校の友だち、ヴィアのボーイフレンドなどがそれぞれ一人称の語りで自分の気持ちやオギーとの関わりを紡いでいく。なかでもヴィアの心の揺らぎは細やかに描かれていて、作品に厚みを与えている。姉としての弟への素直な愛情、弟ほど親の愛を得られない寂しさ、世間に対して弟を守りつつ心の片隅に弟を厭う気持ちがあることへの罪悪感などなど・・。
オギーはふつうの男の子。ただ、ふつうに生活するのに、ふつうよりはるかに大きな心のエネルギーが必要な子。オギーは周りの人々に励まされながらふつうの学校生活を続けていく。そして周りの人々の心にも、人として大事な何かが育っていく。