なちかつ
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 ナルニア国ものがたりの1冊だが、この作品のラストはえもいえぬ美しさで、ひときわ強く印象に残る。ナルニア国から冒険の旅に出た朝びらき丸は東へ東へと航海を続け、いくつかの冒険を経て穏やかな「この世のいやはて」の海へ。日ごとに朝日はまぶしく輝きを増し、鏡のような水面はますます澄みわたっていく。水深はだんだんと浅くなり、やがて見渡すかぎりのまっ白なスイレンで水面がおおわれた場所に至る。朝びらき丸から別れ、小さなボートに移った子どもたちはスイレンの水面を静かに進んで行く・・。最後にもう一度姿を現したアスランと子どもたちの会話に深い意味が込められている。空想の世界と現実とを行き来できる子どもだけの特権。作品はその二つの世界の境界を見事に描き出している。

2024年 (令和6年)
12月29日(日)
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