なちかつ
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 著者はわな猟の猟師。主にねらうのはイノシシとシカだ。本書ではわなの仕組み、わなのしかけ方、獲物の解体方法などが、豊富な写真と絵でわかりやすく紹介されている。読んでいて、何というか少し精神的な負荷を感じるのは、わなにかかった獲物にとどめを刺すところ、その動物の命を奪う場面だ。小さな虫や魚ならまだしも、大きな動物になればなるほどその命を奪うことは残酷なことに思われる。しかし、私たちはその動物の肉をおいしくいただいている。捕獲、屠殺、解体の過程に関わることのない私たちは、肉を食するときその動物の命を意識することはほとんどない。それが意識されるのは殺すときだ。獲物の急所をこん棒で力いっぱい殴りつけ、動きがとまったすきに素早くナイフで心臓を突き刺す、または頸動脈を切る。その行為は残酷か。ならば私たちは命をどのようにいただくべきか。この本はそんなことを問いかけてくる。

2024年 (令和6年)
12月26日(木)
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