文筆業を主な生業とする作家、ジャーナリスト、評論家、学者ら、50名を超える人たちがそれぞれ日本国憲法への思いを述べる。書き方のスタイルは、エッセイ、論文、戯曲、短詩形とさまざまだ。書くことは考えること。考えを整理し、まとめ、読み手に伝わるように表現する。そんなプロの書き手たちが、日本国憲法というテーマで思い思いに書き上げた作品はどれもみな味わい深い。いろんな種類のお菓子の詰め合わせのような、ひとつひとつ味わう楽しみ。それでいてお店として一本筋の通った風味があるようで。
*企画展示『今こそ考えよう日本国憲法(このくにのかたち)』から
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- 作成者:NCL編集部
- カテゴリー: おすすめ本棚
元大阪市長・大阪府知事にして弁護士の橋下徹氏と気鋭の憲法学者木村草太氏の日本国憲法をめぐる対談。どちらも法律の専門家だけあって、一般読者にはかなりレベルの高い議論が展開する、・・と感じた。橋下氏は法にのっとって権力を行使してきた立場から現実的な法の運用を述べる。木村氏は精緻な法理論から法の運用のあり方を述べる。両者の考えはとりわけ安全保障の規程をめぐって鋭く対立するが、法の専門家という共通の基盤の上で質の高い議論が成り立っている。
(木村)憲法の本質について。“憲法に先立つのは権力悪ではなく、権力不在による混乱である。無秩序という悪を是正するため、主権国家は権力を打ち立てた。今度は、その権力が濫用されないようコントロールしようという段階になり、憲法が必要になった。この順番が重要です。” (橋本)立憲的態度について。“憲法と対話し、ルール化し、そのルールに基づいて権力を行使する。これこそが立憲的態度だと思うんです。”
なるほど
*企画展示『今こそ考えよう日本国憲法(このくにのかたち)』から
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共通なのは同じ時間に生きているということだけ。インド、イタリア、カナダと地理的にも社会的にもまったく異なる境遇にある三人の女性の人生が、ちょうど三つ編みのように交差しつつ語られ、物語の結末で深々と結びつく。なんとその作品構成の見事なこと。髪は女性にとって特別なものか。けっして交わることのない三人三様の人生は、髪でつながり、それはまさに「今の時代に生きている女性」の三つ編みの物語となる。
自分の娘を極貧の最下層身分から脱却させようと行動する母親、経営破綻に陥った家業を父親から引き継がざるを得なくなった女性経営者、弁護士の輝かしい地位に登りつめようとしていた矢先にがんの宣告を受けたキャリアウーマン。三人はそれぞれの運命を背負い、これでもかとふりかかる女性ゆえの試練、苦しみに直面する。しかし、作品はそれ以上に、困難に対して前向きに立ち向かう人間の勇気、しなやかさ、希望を描いていてさわやかだ。
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