オーガスト・プルマン(オギー)は10歳のふつうの男の子。ただし、顔以外は・・。パパとママは悩んだすえ、オギーを5年生から学校へ行かせることにした。まるで“屠殺場に引かれていく子羊みたい”ってどういうこと? 不安だらけのオギーの学校生活が始まる。
物語は各章ごと、オギーのほか、姉のヴィア、学校の友だち、ヴィアのボーイフレンドなどがそれぞれ一人称の語りで自分の気持ちやオギーとの関わりを紡いでいく。なかでもヴィアの心の揺らぎは細やかに描かれていて、作品に厚みを与えている。姉としての弟への素直な愛情、弟ほど親の愛を得られない寂しさ、世間に対して弟を守りつつ心の片隅に弟を厭う気持ちがあることへの罪悪感などなど・・。
オギーはふつうの男の子。ただ、ふつうに生活するのに、ふつうよりはるかに大きな心のエネルギーが必要な子。オギーは周りの人々に励まされながらふつうの学校生活を続けていく。そして周りの人々の心にも、人として大事な何かが育っていく。
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- 作成者:NCL編集部
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江戸時代のお百姓は田んぼで米を作り、それを年貢として納めていた、と教科書には書いてある。けれど、勝浦のように田畑が少なく、漁業が中心だったと思われる地域では、人々はそんな教科書どおりの生活をしていたとは思えない。どのような村社会があり、どのような生業で、どのように税を納めていたのだろう。
本書は、江戸時代の文書が多数残っていた伊豆半島北西部の海村における人々のくらしや漁業の実態をていねいにたどったものである。古文書の多くは訴訟に関するもので、そこから津元(網元)と網子(零細漁民)の関係や対立の構図、村々の利権争い、領主の支配体制や租税のしくみ、都市商業資本との争いなどが具体的に見えてくる。
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瀬戸内海に浮かぶみかんの島。みかんが好きというだけの理由で、ひなたは東京から一人この島の高校を受験し、やってきた。感動的に美味しいみかんをつくった農家の西村さんを訪ねる。物語は、西村さんの孫でひなたと同い年の拓海とひなたがみかん畑で出会ったところから始まる。もう一人、学校で問題ばかり起こしているが、みかんのことはよく知っている柴。「みかん、好き?」、小さな青いみかんの実がだんだん色づいていくように、それぞれが心に影をもつ三人にほのかな友情が育っていく。摘蕾、摘果、草刈り・・、丹精こめて美味しいみかんをつくる労働が人と人を結びつけ、高めていく。さわやかな青春小説。
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